「Journey to Addis Ababa」：埃塞俄比亞の都市計画と建築遺産を探求する冒険

埃塞俄ピヤは、古代文明と現代建築が交差する魅力的な国です。その活気に満ちた首都アディス・アベバは、急激な成長と伝統的な文化の融合という、興味深いパラドックスを抱えています。この都市の変遷を深く理解するために、今回は埃塞俄ピヤ出身の建築家、テフェリ・ゲブレセラシエによる「Journey to Addis Ababa」をご紹介します。

ゲブレセラシエは、アディス・アベバの都市計画と建築遺産について、独自の視点と豊富な知識で綴ったこの作品を出版しました。本書は単なる建築史の解説ではなく、埃塞俄ピヤ社会の変遷、伝統と近代性の調和、そして都市開発の課題を探求する壮大な物語でもあります。

アディス・アベバ：成長と発展の歴史

「Journey to Addis Ababa」では、アディス・アベバが、19世紀末に Menelik II 皇帝によって建設されて以来、どのように成長してきたのかを詳細に追っています。当初は小さな村であったこの街は、20世紀初頭に埃塞俄ピヤの首都となり、急速な都市化が始まりました。ゲブレセラシエは、アディス・アベバの建築様式、特にイタリア植民地時代の影響や伝統的な埃塞俄ピヤ建築との融合について分析し、その複雑な歴史を明らかにしています。

建築様式	特징
イタリア植民地時代	壮大なネオクラシック建築、広々とした広場、幾何学模様
伝統的な埃塞俄ピヤ建築	円形の家屋（トゥクラ）、木製の装飾品、自然素材の利用
近代建築	ガラス張りの高層ビル、コンクリート構造、国際的なデザイントレンド

ゲブレセラシエは、アディス・アベバの街並みに見られるこれらの様式の違いが、埃塞俄ピヤ社会における伝統と近代化の対立を象徴していることを指摘しています。

都市開発の課題：持続可能性と社会正義

「Journey to Addis Ababa」では、アディス・アベバが直面する都市開発の課題についても論じられています。急速な人口増加、インフラ不足、貧困などの問題は、多くのアフリカ諸国が抱える共通の課題であり、埃塞俄ピヤも例外ではありません。ゲブレセラシエは、これらの問題を建築と都市計画という視点から分析し、持続可能な開発のための解決策を探求しています。

本書では、コミュニティ参加型の都市計画、伝統的な建築技術の活用、環境に配慮したデザインなどが提案されています。ゲブレセラシエは、アディス・アベバの未来は、住民の声を反映し、社会正義を重視する都市開発によってのみ築けると主張しています。

建築を通して埃塞俄ピヤ文化を理解する

「Journey to Addis Ababa」は、単なる建築書ではありません。ゲブレセラシエが描くアディス・アベバの肖像は、埃塞俄ピヤの文化、歴史、そして人々の生活を深く理解するための窓となります。建築物は、社会の価値観、生活様式、そして時代背景を反映した鏡であり、ゲブレセラシエはそれを巧みに分析することで、埃塞俄ピヤ社会の多様な側面を明らかにしています。

本書は、建築に関心のある方だけでなく、埃塞俄ピヤ文化や都市開発に興味がある方にもおすすめです。ゲブレセラシエの鋭い洞察力と情熱的な筆致は、読者にアディス・アベバという魅力的な都市への旅へと誘い、埃塞俄ピヤの建築遺産と未来の可能性を再発見させてくれるでしょう。

詳細情報：

• 著者: テフェリ・ゲブレセラシエ
• 出版元: アディス・アベバ大学出版部
• 出版年: 2018年
• 言語: 英語
• ISBN: 978-99944-55-91-7